Blender ペーパークラフトアドオン エラーへの対処方法やモデリングのコツ、知っておきたいことなど



Blenderペパクラアドオンでペーパークラフト作成にあたり、コツや知っておくべきことを記事にしてみました。

エクスポート時のエラーに対処できれば、Blenderウィンドウの右下に
このようなメッセージ表示され、おめでとうございます!展開図を取得できます。PaperModelアドオンの機能詳細について、下部に公式マニュアルの要約をもって載せてあるのであわせてご覧ください。


すでにコツを体得されている方は以下からジャンプでどうぞ






Bledner PaperModelアドオンの基本的な使用方法については、Qitaで詳しく解説されている方がいらっしゃいます。執筆者様わかりやすい記事をありがとうございます。








Blenderでペパクラ作成 知っておくべきこと・コツ

「最終的に印刷までイケるか?」 が死ぬほど大切


3Dモデル作成って時間がかかるもので


よし3Dモデル完成だ!(疲れてへとへと)

となっても、一番最後エクスポートエラーで展開図の取得に失敗するとげんなり。モチベが死ぬほど奪われます。ペパクラ用3Dモデルを作成する際は以下2つを考えます。
  1. ねじれエラーをおこなさないようにモデリングする
  2. 1以外のエラーにも遭遇しないようにモデリングする
※ ねじれエラー = いちばん遭遇するであろうエラー

エラーとその対処方法を押さえて、最終的に印刷までイケるか? を常に念頭においてモデリングしたいです

Blenderのペパクラアドオンではある程度の曲面の表現が可能ですが、曲面が紙の屈性・延性を超えるほどだったり、ねじれになっていると※1展開図を取得する時にBlenderはエラーを出してきます。エラーは3Dモデルに修正が必要となり、修正が大きなものになると工程をか遡るはめになり今までの作業が無駄に・・・・orz 印刷後のカット・組立てがHARD MODE時間の無駄にもなるので、複雑な3D形状はそもそもペパクラにはなじまないかもしれません。

まずは印刷・組み立てまで達成感を味わいたいので、試作としてシンプル形状な展開図を取得するところから初めて、なんとなく作業の流れのコツを掴むのがいいかと思います。以下エクスポート時にありがちな2種類のエラーを記載します。

※1  おそらくです。内部処理的なエラー原因は筆者はわかっていません。しかし、紙にしたときに展開不可能な形状はいづれにせよNGではあります。











エクスポート時エラーって、何がエラーなの?原因と対処方法

1 The model contains twisted polygon(s). The offenders are selected and you can use Triangulate to fix them 


2 An island is too big to fit onto page of given size.




1:The model contains twisted polygon(s) とは?

訳:ねじれている面があるから修正の必要があるぞ


このエラーは、展開(unfold)しようとしている3Dモデルのメッシュ面にねじれているものがあるので展開できないよ。3Dモデルを修正してということ。





メッシュとは三角形のあつまりのこと。3Dモデルの各メッシュ面はフラット(平)な三角形で表現されています。ねじれとは、とあるメッシュ面が平面になってないよということ。ねじれエラー解消には、ねじれのあるメッシュ面を削除 or 修正すればOK

以下いづれかで対処できます。
  1. ねじれ面の三角化(Triangualte)処理を行う (モデルの修正)
  2. ねじれ面にナイフツールで辺(線)を追加する (モデルの修正)
  3. ねじれ面を削除する (問題面の削除)
  4. ブーリアン演算の差集合でごっそりねじれ面もろとも消去する (大胆に簡略化)
  5. おすすめ:メッシュのクリーンナップを行う(自動でモデルの変形)
状況に応じてどれかをやることになると思いますが、3が一番簡単でおすすめは5の方法です。3がめんどくさかったらまず5をやってから3ををしてみる。問題がまた起こったら、1,2、4あたりを試していけるはず。





面の三角化(Triangulate)を行う

エラーになっている面を選択した状態で、右クリック>面を三角化を実行。Triangulate to fix とはこのことを言っているはず。Triangulate処理をすればねじれは解消しますが、紙で展開図にしたときのカット工程を増やします。エラーを回避するかわりにめんどくささを増やす。



2ナイフツールで線を切って、面を分ける


頂点や辺などを選択しナイフツールで線を入れる。ねじれのあった面をの2つ平面図形にしてしまえばいいよね、ということ。これもカット工程のめんどくささを増やす。




3(おすすめ) 問題のあるメッシュ面を削除する 

当該メッシュ面が選択された状態で、deleteキー>面

エラーのあるメッシュ面がオレンジ色で選択されているはずなので、エラー面を削除してしまう。当該面が背面にまわって見えなくなるところや、無くても(構造・見た目上)問題なさそうな面だったら、思いきって削除してしまう。組立後最終的に変にならない程度・場所なら削除してしまってOK


例えばこのゴーレムだったら、自立したときに見えなくなる面はあってもなくてもかわらない。別にこの面がぽっかりなくても完成度おちないよねというときは多い気がするし、紙のカット工程を一つ減らすことができて一石二鳥。



4(おすすめ)ブーリアン演算の差集合で問題面を消去する

ゴーレムの腕の裏にねじれ面(↓ココ)があった場合、



差集合でざっくり削除しまえば、ねじれの問題がおこる余地がなくなるし、差集合をとる形状を工夫すれば当該削除面を自由にできる。こういった形状の簡略化は、印刷後の紙のカットと組み立ての手間を省略することに貢献する。
  • Blenderの操作方法に習熟していなかったり、
  • 3Dモデルの修正がめんどくさかったり、
  • やる気がなくなり色々困難なとき
などははこの方法がオススメです。ざっくりけずりとっちゃいましょう。さらに、このゴーレムの例で言えば、削り取った面は表からは隠れるので削除しちゃってもいいでしょう。カットめんどくさいし。




5(おすすめ)メッシュのクリーンナップをおこなう

↑ アニメーションGIFなので動きます
  1. 編集(Modeling)モードにして、対象 メッシュor頂点 をすべて選択した状態で
  2. メニューバー  メッシュ >クリーンナップ > 形状のポリゴン数削減
  3. 左下ダイアログ スライダー調整(0.1~0.2あたり?)
ポリゴン数を自動で減らしてくれるのでとってもお手軽。形状をごっそりシンプルなものにしてくれます。形が変わりすぎない程度にクリーンナップをかけたり、問題面を削除したりしてうまくいきそうなポイントを模索する感じです。





ほかにはモディファイアにデシメートを追加して、ローポリモデルにする方法もありましたが、私自身その押さえどころをよくわかっていないので紹介できません。







2:An island is too big to fit onto page of given size.

訳:アイランドサイズがでかすぎる。展開図が用紙サイズに収まらないのでエクスポートできないよ
アイランドとは展開図のうちそれぞれのパーツのことです。パーツのことを island=アイランド=島 と表現されています余白は海?)。以下2つで対処することができます。実寸法が失われますが、完成後のペパクラのサイズが適当でいいなら問題ありません。
  1. Scaleを調整する
  2. 用紙に大きいサイズ(例: A3)を指定する



1:Scaleをダウンサイジングする


エクスポート画面の右上のScaleを調整する。ここは、1/144とか1/72とかガンダムのプラモデルのような寸法表記なので、展開図を小さくしたくば分母の値を大きくすればOK

例)1/32 >> 1/300
スライダーだと100までしか選べませんが手入力では100以上を選べる。とりあえず、1/300 1/500 1/3000とかやれば対処できエクスポートに成功します。

※エクスポート設定はプリセットとして登録できるので次回からは呼び出して使用可能です。


2:用紙サイズをA3にする

Document Settings で A3 が選択できるので用紙サイズをA4からA3にする。
※エクスポート設定はプリセットとして登録できるので次回からは呼び出して使用可能です。










BlenderPaperModelで、DQのゴーレムを作ってみました

2022年 正月休みを溶かして作成

黄色くないのはコピー用紙でケチったから



ゴーレムを完成させるのに必要だったものは、
  • Blender(FreeCAD)
  • プリンタ
  • のり・ハサミ
  • 根気
でした。あ、あとそれから・・・・・









根気が必要だった!


根気の他には根気と根気・・・・・、それから根気と根気、最後に根気も必要でした(ToT)






ガントラ・マキシバス



PDFデータをコンビニプリンタでカラーコピーすると印刷品質高くて好きです。









BlenderPaperModel 公式ドキュメント


Chromeの自動翻訳を使えば英文でもけっこう理解できるものですが、かんたんに要約をまとめてみました。網羅的でないかもしれないですがミスはないと思うのでご活用ください。長いのでご興味がなければ読み飛ばしてください。


驚きだったのは、山折り・谷折り(凹)がドット線・破線(一点鎖線)で表現されており、自動で区分、印刷できることや、FreeLine機能で特定の辺の色を変えて目立たせることができること、あとはそこそこに見栄えのカスタマイズできること、などでした。
  1. island(アイランド)とは島のこと。展開図のうち、パーツそれぞれを島(=island)と表現している
  2. 展開図のうち、破線は山折りを表し一点鎖線は谷折りを表している。先の太さや色スタイルは個別にカスタマイズできる
  3. FreeStyle線で好きなところに実線を追加できる。FreeStyle線の太さや色などは個別にカスタマイズできるので、例えばFreelineで切れ込み挿入線を表現するとかが可能
  4. 辺を選択しシームを設定すると、展開図のカット位置をある程度コントロールできる
  5. シームはUnfoldを実行すればほとんどが自動で設定される。自身で設定したシームは展開にあたり無理ない程度に優先される
  6. Unfoldを実行する際、CreateUV にチェックを入れると展開図のプレビューをUVエディタにて確認できる。確認できるが、そのUV配置をいじっても、展開図として本ちゃんエクスポートすることまではできない。できるのはプレビューのみ
  7. Unfoldしたあとisland(島)にはそれぞれ個別に名前を振ることができる。組み立ての際の手がかりになるので、組み立てが予想しづらいislandには設定しておくと便利
  8. テクスチャをマッピングすると、ベイク処理が自動でなされ展開図に柄を乗せることができる。
  9. Tab=タブ=のりしろ。のりしろのサイズ、のりしろのテキストのサイズ、のりしろの背景色などはそれぞれカスタマイズできる。
  10. 他のislandに接着するようなTabは >と数字で表現される。5:3とか4:10などの表記は、island5の3に接着する、island4の10へ接着という指定
  11. 「このタブは絶対ここに着くだろ!」というふうにそのタブの宛先がぱっとわかるような場合は、そのタブの数字は省略される。
  12. エッジ角を指定すると、指定角度以下の折りたたみ線は無視して印刷される。30度なら、30度以下になるような折線は省略される







記事のおわりに Blenderペパクラアドオンの限界は?


立体のうち平面へ展開できる面のことを可展面というらしい。ペパクラデザイナーの製作者様のウェブサイトを読んでみると、

曲面形状の展開図をとるということは、専門的な数学的知見を持って解決するような研究分野だということだった。作者さまは筑波大学の教授です。

Blenderに限ったことではなく、そもそもペパクラにおいて、球面・曲面の表現はむずかしいものですよね。私の勝手な予想ですが作者様が発表した、近似をとることによってうさぎや牛のような、曲面もりもり3Dモデルのサーフィスを展開するという研究が、BlenderのPaperModelAddonに活かされているんじゃないのかな?どこでつながっているんじゃないのか。


Webで見かけるような、連続して丸みを帯びたようなクオリティの高いペパクラ作例は曲面へどのように対処しているかというと1つ1つ試行錯誤で作っているようだった。つまり、実物モデルをなんでも作成して(粘土とかパテとか樹脂とか)、面それぞれにマスキングして剥がしてパーツとし、切った貼ったを繰り返して完成させていると、、、、驚愕。プロの領域だ。



Blenderの展開図取得は実際曲面をかなり展開してくれますよね。3Dモデルのペーパーモデル化は時間を要するとは思いますが、立体になったときの楽しさは格別です!私も3DCG修行中の身ですゆえ上から目線で恐縮ですが、あせらず完成までいけるとよいですね!





おまけ: このブログ筆者作例

A4用紙4枚にポスター印刷して、ダンボールにはっつけて組み立てた。リモートでステイホームが多くなってしまい、暇な時間にこういうのをAmazonの梱包ダンボールで作ってました。ガンダムの盾は子供が死ぬほど喜んで遊び倒してくれてた。ペパクラを自分でつくるメリットって大きいものを作れることですよね

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