ゴーレムのペーパークラフトをFreeCADとBlenderと組み合わせて作る方法


記事投稿:2022/02/3

追記:2022/02/16



FreeCADとBlenderでパペクラを作った





FreeCAD + Blender ペパクラアドオンの組み合わせでゴーレムをつくってみました。






本記事では、この制作方法を紹介しm・・・・・・・・・・






だめなところ1:ちゃんと接着できてない


だめなところ2:接着したところが剥がれている

 

だめなところ3:浮いてる


だめなところ4:手先が不器用すぎて押し込みすぎてしまった





と、まぁこんなできばえではありますが(笑)、私がこんなクオリティのペパクラがんばったで賞を作った方法を紹介します。












FreeCADでペパクラ制作はむずかしい

Blenderを習得する気概をお持ちでしたら、FreeCADは使用せずBlenderオンリーでやったほうがいいかもしれません。3Dモデル作成にFreeCADを用いる方で、興味があれば、このまま読み進めください。ここまでお読みいただき感謝です。

以下おおまかな作業方法、ポイント・コツを示してあり、個々ワークベンチの使用法やBlenderの操作方法は潤沢なネットの情報をご参照ください。

最後Blenderで 展開図を取得する際のエクスポートエラーがすべてを台無しにするので、全体としてはエクスポートエラーへ配慮しつつシンプルな形状の立体をペパクラ化する感じです。



実例


これらはFreeCADで3Dモデルを作成し、Blenderペパクラアドオンで展開図を取得することが可能です。ともかく簡単な形状は余裕でペパクラ化いけます






FreeCAD+Blenderでペパクラ EasyMode

  • 直線的、シンプルな形状で、展開図をある程度予測できそうなもの
  • テクスチャペイント(外観塗装・色付け・柄付け)をしない


FreeCAD+Blenderでペパクラ HardMode

  • 流線型で構成されており、複雑な構造をしていてパーツ点数が多いもの
  • フィギュアのような、腕や足が最終的に寸法が小さくなるもの


こういう場合はBlenderオンリーでやったほう無難




Blenderペパクラアドオンの弱点

  • 正確な寸法は失われる
  • 面(メッシュ面)にねじれがあると、エクスポートエラーになり展開図得に失敗する






具体的な作業工程

テクスチャペイント=画像右:色付け・柄付け工程のこと=めんどくさい

  • 1. FreeCAD:それぞれパーツ(頭・胸・腰・左腕・右腕・左足・右足)を作る
  • 2. FreeCAD:Aseemblyワークベンチで組み立て、ポーズ決め
  • 3. FreeCAD:STLでエクスポート
  • 4. Blender:STLをインポート
  • 5. (テクスチャペイントをしなければ不要) Blender:シーム切り、UVエディット 
  • 6. (テクスチャペイントをしなければ不要) Blender:テクスチャペイント(Azpainter3,Inkscpae使用) 
  • 7. Blender:PDF・SVGへエクスポート。メニューバー>エクスポート>papermodelを選択
  • 8. 印刷・組み立て  おつかれさまでしたm(_ _)m


私は、STLでFreeCADとBlender間のデータの橋渡しをしましたが、Fcstdファイルを直接インポートするBlenderアドオンにFcstdImporterというのがあります。GitHub - s-light/io_import_fcstd: blender importer for FreeCAD files

要Pythonのバージョン確認+要設定となりますが、普通に使用可能だし便利です。





Blender初心者俺「テクスチャペイントって何・・・・??」

FreeCADのアセンブリでポーズ決めをしてからデータをBlenderに渡したため「テクスチャペイントむずすぎワロタww」となりました。

Blenderの定石だと、ゴーレムのようなフィギュアの場合、まず立ち姿の段階でUV展開して、テクスチャペイント(外観塗装)を済ませ、ボーン(骨子)をいれてポーズ決めを行うものらしい。それを知らずだったため

「なんだこれwwwむずすぎワロタww」

でしたorz。3DCGモデルを紙化するだけならテクスチャペイントは必須ではないと割り切って、展開図取得のみにBlenderを利用する感じがいいでしょうか。

なにせ、テクスチャペイントの工程を理解するだけにも相当の時間がかかり、もしわかっても、立体への色付けというのはかなりセンスを問われるものだったからです。





FreeCAD ペパクラ用モデル作成のポイント・コツ

めちゃくちゃ大切:1・2・3

ポイント:5・9・10

豆知識:他

  1. 3Dモデルデータをシンプルな形状にしてBlenderにわたす(=ダウングレードを多用して最終的にFaceの集まりだけにしてBlenderにデータを渡す) ※後述
  2. カット工程を増やさないようにシンプルな形状をこころがける
  3. 複雑な球面・曲面は避ける。ねじれ面は、Blenderでエクスポートエラーになり修正をせまられる。※1
  4. ロフトは使わない。※後述
  5. Sketcherの方眼メモリは1mmにしておく(=1mm以外にしない)。モデルが大きくても小さくてもBlenderで面倒になる。10mmでやっててめんどくさくなった
  6. FaceBinder(Draftワークベンチ)で好きなFaceを選ぶという手もある
  7. Face同士はまとめてブーリアン結合できる
  8. すべて選択してSTLでエクスポートすると、ブーリアン結合しなくても一体物の扱いになる
  9. 線や点は残らない。エッジは残る。
  10. 線織面を使う。Blenderでは単純な平面として扱われる。
  11. BlenderのFreeLineを使うと、簡単な操作でエッジを選んで装飾したり目立たせたりできる
  12. テッセレーションでローポリ化する方法がある
  13. 疑似アセンブリのManupulatorWorkBench(要追加)でお手軽組み立ても可能


※1(メッシュ面のねじれがエラーになるのであり、近似がとられることで展開可能な球面・曲面も多い)






コツ1:DraftWBのダウングレードを多用してFaceのみにする

たとえばこんな立方体の展開図をBlenderで得ようとします。



この立方体の内部には小さな立方体の空洞(立方体:大を、立方体:小でブーリアン差集合をとった)があります。こうい内部構造を「見えない部分だからこのままでいっか」とBlenderにエクスポートします。すると、


 

Blenderのペパクラアドオンくんは立体の情報を表・裏問わずきちんと展開図にしてくれちゃいます(画像右)。彼はまじめです。

ですから、エクスポートしてBlenderにデータを渡すときは、FaceBinderをしたり複数回ダウングレードをかけてFaceだけにしてしまいます。ダウングレードを複数回適用するとSoildはFaceだけにの集まりになり、そうすると、

「この面は必要だけど、こっちの面はいらねぇや」

というふうにマウスポチポチで選択的に不要なFaceを消去できるようになります。Wireまでいくとダウングレードのやりすぎです。点や線は残りません。


組み立てが完成したときに見えなくなる部分、例えば、


足の裏や腰の裏などのFaceは思い切って削除してしまいました。

面・頂点の多さ=カット・組み立ての工程を増やすだけ

なので、作品の完成度を落とさない限りにどんどん不要なFaceは削除していったほうがよいかと思います。新たにサーフィスをはってもOKです。サーフィスをはる場合は、線織面ではるようにします。Blenderで最小頂点数の面となってくれ、ねじれがでません(おれ環調べ)



最終的にFaceすべてをブーリアン結合して(一つ一つやる必要はありません)完成。すると、最終的的にはこういう

見た目的に頼りないFaceの集合ができあがりますが、Blenderに渡すならこの状態が最適です。展開にかかる処理時間が短かくなるし、なにより得られる展開図を予想しやすいのでいろいろとやりやすいのです。






コツ2:エクスポートエラーに対処する

とはいえ、Faceのみ残す作業もだるいし煩雑だとは思うので、SolidのままとりあえずSTLでエクスポートしてBlenderで展開図が取得可能かお試しになるといいかもしれません。Menu>エクスポート>papermodelでBlenderが操作不能になりますが、展開図取得の計算をしているのであり正常動作です。PCのスペックにもよるところですが、複雑な形状の展開図を得ようとすると時間がかかりますし、いつまでも保存画面がでてこないときは形状の見直しをするとよいかもしれません。

エクスポートエラーは保存画面のあとに無慈悲なメッセージとともに起こります。エラーは該当エラー面を修正しない限り改善されません。"An island is too big to fit onto page of given size"は、用紙サイズに収まりきらないので寸法の調節をするか用紙サイズをA3指定するかで解決します。

エクスポートが成功するか?を念頭におき、まずは簡単な形状で実験してから本番に望むのはいかがでしょうか?がっつり作業して、最後の最後でエラーに直面するとPCを投げ捨てたくなる衝動漆黒の殺意を抑えるのは難しいでしょうから。

形状を作り込む場合は、まずBlenderでエクスポートに成功するか逐次チェックして、その日の精神力マジックポイントを消耗させない工夫が良いと思います。



こちらの記事でエラー対処の具体的方法を書いていますので、お困りでしたら合わせてご覧ください。何かご参考になれば





豆知識1:ロフトは使わない


Sketcherとロフトでこのような形状を作ってみました。見た目的には各Faceはフラット(平面)で、ねじれなどの問題はおきない気がします。

Mirroして、これをBlenderにエクスポートすると、、、、

メッシュの頂点がびっくりするほど多く、こんなぞわぞわな見た目になってしまう。これを展開図にすることはできるが、

展開図にすると、ちょうどメッシュのエッジでシームが入り、組み立てとカットがめんどくさくなる。結果、このペーパークラフトが作られることはなくお蔵いりとなる。頂点のクリーンナップとか、デシメートするとかあるけど作業工数を増やすし、もとの形が崩れるのでちょっとがっかりな結果に。

このようにロフトはペーパークラフトには向きません。テッセレーションをしておくとかもありだけど頂点数を少なくするのは結構難しくて、デザインとの整合性をとろうとすると感覚によるところとなり、結局手を動かさないといけない。これがだるい。




まとめ:Blender良い!

  • FreeCADからBlenderにエクスポートする際は、Faceのみの状態で渡すのがベター
  • エラーに対処できるようにする。回避も対処方法の一つ
  • うまくいくのか実証的にトライすると失敗を減らせる
  • 完成後の満足感・達成感は◎


慣れないBlenderをあれやこれや弄り倒しているうちに体感できたことは、すべての動作がCtrl+zで戻れるようになっていたり、FreeCADより視点移動の気が利いていてスムーズだし、ループ選択とかが超便利だったこと。3Dモデリングをスムーズかつ機能的に行えるように洗練されてて感動しきり。やっぱキャラものの3DモデルはBlenderのほうがよいですね。でも対して、FreeCADもそんなに悪くないと思ったなぁ。慣れた操作感だしわりかし機能充実しているし。


以上最後までお読みたいだきありがとうございました。FreeCADでつくったものをリアル世界に顕現させる方法は3Dプリンタ以外に紙でもできるよというお話でした。みなさま楽しいFreeCADライフを!




関連記事





参考URL・情報

  • * A2plus Workbench - FreeCAD Documentation https://wiki.freecadweb.org/A2plus_Workbench
  • * FreeCAD : Assembly2 (spherical Surface) - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=2QnDn6T28nA&t=108s
  • * FreeCAD: Very Basic Ball Joint Assembly A2plus Workbench, Mechanic Animation, Beginners Tutorial - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=faR9FHJvWV0
  • * Blender PaperModel : https://docs.blender.org/manual/en/latest/addons/import_export/paper_model.html
  • * BlenderでSalesforce アストロくんのペーパークラフトを作る - Qiita https://qiita.com/atskimura/items/056b4d904dd140589cf3





PC環境

OS:ManajroLinux 64Bit

FreeCAD:FreeCAD 0.19 LinkBranch Linux

Blender: 2.93.6 Linux 




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